参加クリエイター(イラスト)よりコメントが届きました!【加藤直之】

 

『猫とドラゴン展 参加のきっかけ』

(今回の展覧会の仕掛人でもある)開田さんの重厚な絵が好きで、作品展をよく観に行ってました。その最初は(記憶では)、川崎市民ミュージアムで開かれていたとても豪華な展覧会。僕が趣味に自転車を始めたばかりの頃で、仲間たちと多摩川の二子橋で待ち合わせて会場まで走ることになりました。ところがその『個展観賞サイクリング』発案者の、やはり自転車が好きなイラストレーターが、直前になって体調を崩して参加できなくなり、急遽、僕がコースを先導することになりました。何とかたどり着いた川崎市民ミュージアムは大きかった。飾られていた絵の数も大きさも半端じゃ無い。
健康のため始めた自転車ですが、東京都内くらいなら、思いついたらすぐに出かけられます。毎日走るようになると、だんだんネタも尽きてきます。開田さんの家が比較的(自転車で)ご近所だったからか、ちょこちょこ開かれる個展の会場もすぐ行ける場所にあって、何回か通っているうちに『猫とドラゴン』展への誘いを受けたのでした。
その時は、自転車で通える気軽な展覧会ということで参加を決めたのだけど(ここでも自転車で行動することを前提にしていたのだ)それが都美術館を使えるようになったと聞いてビックリ。
都美術館は、僕も『東京展』で出品したことがあり、馴染みの場所だったのです。そしてやっぱりいつも(観るときだけは)自転車で行ってました。

『都美術館と貸し画廊の違いは天井高』

都美術館の内覧会(下見)で、高さ5メートルの天井を見たとき、「この高さでないと飾れない絵を描いてみたい」と思いました。壁画や天井画は無理にしても、見上げるような大きな絵を描くことが僕の昔からの夢でした。それがもう夢に終りそうな気がしていたとき(仕事場はそんな絵をかける部屋じゃないし)・額縁だってすごく高額になるし(縦2メートル、幅1メートルの、幅がたった数センチでも額縁でも7万円くらいした。)・絵を運ぶのだってトラックが必要になる。しかしそういった要因の殆どは、「キャンバスを木枠に張る」からだと気付いたのです。木枠に張らなければ丸めて運べるし・自分の仕事場でも巻物みたいに部分ごとに描いていけばいいし・額縁無しで掛け軸のように絵の上下を絵の幅と同じ長さの細いパイプに固定すればいい(取り外し可能にする)。
そんなふうにアイデアだけはどんどん出てきたのでした。しかし、東京都美術館でやることに決まった頃、ここ何年の中でも、サイクリングにも行けないくらい忙しい毎日を送っていたのです。描く時間や場所を確保できるのだろうか・・・。
案の定、開催日は迫ってきているのに、予定はまったく未定。気付いたら開催日まで2ヶ月を切ってました。慌ててロールキャンバスを注文し、絵の上下に固定するステンレス製のパイプを近所の材木屋さんで購入(途中で黒猫を発見。参考用にと写真に撮りました)。

 
とはいっても、仕事部屋は、相変わらず資料の本や仕事の参考のために組み立てる途中のプラモデル、そして自転車でいっぱいで、キャンバスを広げる場所がまったく無い。しかたなく(とりいそぎ)(建物の共用部分の)廊下で作業することにしました。まず、100円ショップでモップを買いました。廊下のお掃除です。廊下ってけっこう汚れているものなのですね。人がいない時間帯を見計らいます。

     

寸法を測ってロールキャンバスを必要な長さに切っている最中に、お隣さんが通りかかって解説するハメになってしまいました。
それでもなんとか、開催日の3週間前に作業を開始。ところが!
廊下に絨毯のようにキャンバスを敷いた状態では(4mの長さがあります)パースがついて全体像が把握できないのです。
少なくとも描き始めだけは全体のバランスを見ながらでないとダメなのに、それさえ出来ない状態なのよ。
けっきょくパソコンで下絵を描いて、それに升目を重ねてプリントアウト。同様に、升目を描き込んだキャンバスに手作業で「拡大転写」をすることにしたのでした。

     

『拡大転写』

キャンバスに定規で線を引くには、床にキャンバスを広げるしかありません。壁に立て掛けてだと、定規が定位置に保てないのです。キャンバスの上に直接お尻をついてする作業したのですが、この姿勢が「腰に来る」。例えば、日本画は(絵の具が垂れるから)床で作業するみたいですが、長い年月坐り続けて絵を描いていたら椎間板ヘルニアになって座骨神経痛を発症してしまった僕には、ほんとうにキツかった。いっそのこと、下絵を描いていたパソコンに繋げられるプロジェクターを買ってしまおうかと考えたくらいですが、でもそれをキャンバスの前にセットする時間もお金も惜しかったので、頑張って升目を引きました。絵を(手作業で)転写するのは比較的簡単だったのは予想以上に簡単で、逆にビックリ。

あとはもう、搬入日までの残りの期間を必死に描くだけであります。
間に合うかなー。いや、間に合わせるのだ!